P.H.の偉大な業績(後編)


1969年6月下旬。

フルコスは、
ミシガン州イプシラティに降り立った。

陰惨な殺人事件が2年間にわたって起こり続けているのに
いまだ容疑者さえ特定できない警察に匙を投げ、

地元市民達が有志団を結成し
藁をもつかむ思いで
数々の犯罪事件を解決に導いた実績を持つ
ピーター・フルコスの能力に頼ることにしたのである。

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事件の始まりは
最初の死体が発見された1967年8月7日。

夏休みで探検ごっこを楽しんでいた少年達が
朽ちた農家の裏手で、腐乱死体を発見する。

首や胸を20回以上メッタ刺しにされ、両手両足は切断、
引き裂かれたドレスと下着を僅かに残していた遺体は
M.フレッツァ、18歳。
東ミシガン大学の学生
であった。

1年後、
犯人どころか容疑者や目撃者さえも見つからないまま
第2の犠牲者が発見される。

排水口修理業者が、胸に47箇所の刺し傷と
陰部を原形とどめないほどに切り裂かれた
無残な女性の遺体を発見。
J.シェル。同じく、東ミシガン大学生

それから1年待たず、第3の遺体は発見された。
小さい子供と母親が墓地周辺で
レインコートに覆われた人間大の不審物を見つけた。
22口径小銃で頭を撃ちぬかれた銃殺死体だった。
J.ミキサー、東ミシガン大学生

そのわずか4日後、
工事現場監督が、濡れ落ち葉で注意深く隠された
裸の遺体を発見。
M.スケルトン。16歳の少女は、
胸部に縛られた跡、胴体にみみず腫れや切り傷が散らばり
頭蓋骨は頭部の判明が不可能なほど粉砕され、
膣には無造作に木の枝が差し込まれているという
酷く無残な姿で見つかった。

続いて1ヶ月たたず
またしても少女が遺体で見つかる。
D.ベイソン。農場経営者が発見したその死体は
黒い電気コードで銃殺され、腹部と陰部は
鋭利な刃物で切り裂かれていた。
彼女は、まだ、13歳であった

第6の犠牲者は、2ヶ月過ぎず発見された。

学校帰りの男子達が近道しようと
横切った野原でつまずいたのが、
その哀れな遺体だった。
A.E.カロム。東ミシガン大学生の彼女は
喉を切り裂かれ、胸部と陰部には40以上の刺し傷、
挙句、22口径弾丸で頭を打ちぬかれ
半分にも満たない人生を、
強引に奪われてしまったのだ。

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当事件での、6人の犠牲者達。(名称略)
(pht by H.D.Collection)



6人目の犠牲者が発見されてから
2週間弱で要請を受けて招きに応じ、
参じたフルコスに対し、市民有志団は積極的に協力
警察・担当刑事達も
「公には認可できない捜査だが、できる限り協力は惜しまない」
と申し出てくれた。



6件の遺体発見現場を小さく記した地図を広げ、
フルコスは語り始める。

「犯人は・・・、彼は、年寄りではない・・・25,6歳・・・いや?・・・学生か?
童顔だ・・・だが、非常にインテリだ・・・夜間部のある大学・・・
体格は筋肉質で・・・136ポンドぐらいだ・・・バイクに乗っている・・・」

これを聞いた刑事達は、
腰を抜かさんばかりに驚いた。

犠牲者の多くが東ミシガン大学女子学生と
大学近隣住民であることから
大学生を有力容疑者として絞っていた
からだ。

興奮した彼らは、フルコスの言葉に勇気付けられ
数々の死体発見現場写真を
すぐさまフルコスへ提供し、見せた。

「・・・この朽ちた農家・・・中で犯行が起こった・・・あ?・・・違う?・・・
ああ、違う・・・被害者はここにいなかった・・・そうか、そうだ・・・そうだ、
ここは犯人の本拠地だ・・・獲物をここから見張って・・・狙っていた・・・
彼は今でもこのあたりにいる。この家にはいないんだが・・・
だが、このあたりをバイクでうろついている・・・」

他にもフルコスは、各現場写真から
周囲の景色・転がっていた物・発見者の詳しい容貌や
遺体の様子など、マスコミや市民にも閉ざしていた情報を
事細かに、その場で語った。

フルコスの能力に脱帽しすっかり信用した刑事達は、
さらに彼から

 ・刑事達が尋問した中に犯人がいること
 ・最後の犠牲者が出た後、犯人は捕まる

 (透視した時点で、もう止められないとフルコスは言った。)


ことを告げられる。

これ以上の犠牲者は我々がくい止めて見せますよ!
とフルコスへ語った刑事は、
だが、そんな希望の言葉がむなしく散ったことを
まもなく知るのである。

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最後の犠牲者は、やはり
東ミシガン大学の女子学生だった。

K.S.バイネマン。18歳。

胸に火傷の跡があり、陰部には無残な歯型が
いくつも残っていた。
恐らく犯人が何度も噛み付いたのだろう。
死因は窒息死とみられた。

彼女の遺体が発見されたのは、

フルコスがこの猟奇連続殺人事件を
透視・予知をしてから、約一ヵ月後
の事であった。


犯人は、驚くことに
地元州警察、一警官の身内であった。


「記録を再度検証し、ファイルを洗いなおせば
真犯人が浮かび上がるはずです」


最後の犠牲者に付着していた細かい髪の毛が
容疑者を一人に絞るまでに至り、
フルコスの助言どおり
記録や証言などのファイルを見直すと


その容疑者は、窃盗・強盗の常習歴があって
他の学生名義クレジットカードを盗用しているという、
とんでもない青年だった。
また、最後の犠牲者の少女をバイクに乗せて
デートしているところを数人に目撃されていたのだ。

犯人の名は、
ノーマン・J・コリンズ。

黒っぽい髪で筋肉質の引き締まった体型と
ハンサムなバイク好きの、女子にもてていた
東ミシガン大学の、れっきとした学生であった。

裁判により、彼は有罪となり
最低でも
20年の刑を科せられる
判決が下った


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当事件の裁判で証人喚問の時を待つフルコス。
(Peter Hurkos/pht by H.D.Collection)



フルコスがこの事件解決に関わるまで
一つの証拠はおろか、目撃者さえも出てこなかった

恐るべき猟奇連続殺人事件は、

彼が予言した
最後の犠牲者が残してくれた数本の短髪と
大学内の目撃者
によって

一挙に解決、

犯人逮捕が成就されたのであった。